山倉農園の農家だより~変遷~

山倉農園の農家だより~変遷~

皆さんこんにちは

山倉農園の更新担当の中西です

 

~変遷~

1|冬の果実が“年中の主役”になるまで

いちごは本来、春が旬のやわらかい果実。日本では冬〜春に向けた促成栽培が発達し、クリスマス・年末年始の顔になりました。さらに直販・観光・輸出が重なり、**「量×品質×体験」**を設計する産業へと進化してきました。


2|〜1970年代:露地から促成へ(基盤形成期)

  • 栽培:露地・トンネル主体。冬は寒さで収量が限られ、春に一気に出回る季節品。

  • 流通:地元市場中心で、鮮度保持や選果は経験に依存。

  • 課題:果実の不揃い・病害(灰色かび等)・輸送中の傷み。

👉 “旬の味覚”を地域で楽しむ段階。技術も販路もまだローカルでした。


3|1980〜1990年代:ハウス化・高設導入の前夜(量と均一化)

  • 施設化:ビニールハウス普及、暖房と日長・温度調節で冬の出荷を実現。

  • 受粉:自然訪花+ブラシから、**マルハナバチ(訪花昆虫)**の導入が進む。

  • 選果・規格:階級・等級が整い、箱詰めの美観が価値に直結。

  • 課題:腰痛をはじめとした労務負担、土壌連作障害、病害の発生。

👉 「量と規格」を揃え、都市部へ安定供給する体制が整う一方、“人と土”の限界が見え始めます。


4|2000年代:高設栽培・品種ブランド・観光の三位一体(価値づくり)

  • 高設ベンチ:立ったまま収穫・管理でき、清潔・均一・省力が進む。

  • 培地・点滴:養液管理が精密化し、糖度・酸度のチューニングが容易に。

  • 品種の多様化:大粒・高糖度・香りなど地域ブランドが台頭(例:大粒系、酸味マイルド系など)。

  • 観光いちご狩り体験×直販でロスを価値化。SNS映えと相性抜群。

  • コールドチェーン:予冷・保冷輸送が整い、遠距離出荷が現実に。

👉 「作って出す」から**「設計して魅せる」**へ。体験とブランドが収益の柱になります。


5|2010年代:ICT・環境制御・直販EC(精密経営期)

  • 環境制御:温度・湿度・日射・CO₂をセンサーで可視化、夜温管理・日中換気の最適化。

  • 病害虫管理天敵・微生物剤の活用で、減農薬と収量安定を両立。

  • データ経営:収量・階級・糖度の日次ダッシュボードで作業と販売を同期。

  • 販売多様化:定期便EC・スイーツ店直納・ギフト箱の設計などSKU戦略が一般化。

  • 働き方:SOP(写真・動画)整備で未経験者の即戦力化

👉 数字で「狙いの味・サイズ・出荷タイミング」を作る、レシピ経営の時代へ。


6|2020年代:気候変動・エネルギー高・輸出(レジリエンス設計)

  • 高温・多雨対応:遮光・ミスト、高温耐性品種、換気導線の再設計。

  • エネルギー:夜温戦略の見直し、ヒートポンプ・省エネカーテン、CO₂施用の費用対効果管理。

  • 輸出・観光強化:超大粒・高糖度を航空・冷蔵コンテナで。体験型農園は入場予約×SNSで平準化。

  • サステナブル:培地再生・資材リサイクル、廃果のスムージー・ジャム化などゼロロス設計

👉 “気象とコストの波”に耐えるため、作期・品種・販路の分散と、省エネ×高単価戦略が鍵に。


7|技術の肝🛠️

  1. 夜温・日射・CO₂の三位一体:糖酸バランスを決める最重要レバー。

  2. 花房管理×摘葉:秀品率(形・色)と連続着果のバランスをとる。

  3. 受粉品質:ハチの活動条件(温湿度・農薬)と補助受粉のルール化。

  4. 予冷と梱包:収穫→予冷までのリードタイムを短縮、結露対策と緩衝材設計で歩留まりUP。

  5. 労務設計:ピークの朝収穫に人員集中、動線短縮・台車・コンベアで人時を削減。


8|ビジネスモデルの変遷:卸一本から“多販路×体験”へ 💼

  • :市場出荷中心(価格は相場任せ)

  • :市場+契約(菓子・ホテル)+直販EC+観光+加工。

  • KPI:平均単価だけでなく、**直販比率・リピート率・破損率・原単位(kWh/kg)**で全体最適を。


9|“選ばれる農園”の運用テンプレ📐

  1. 3プラン販売
    ベーシック(家庭用MIX)/セレクト(秀品L中心・ギフト)/プレミア(超大粒・限定箱・予約制)。

  2. 品質ダッシュボード
    収量・階級比率・糖度・破損率・クレーム・エネルギー原単位を週報1枚で共有。

  3. SOP+動画(60–90秒)
    受粉・摘葉・収穫・選果・梱包・予冷を“誰でも同品質”に。

  4. ゼロロス設計
    規格外→直売加工(ジャム・スムージー)→冷凍ピューレ→スイーツ店、の優先順位表を作る。

  5. 繁忙期オペ
    朝:収穫→予冷→選果/昼:体験接客/夜:梱包・出荷・EC対応、の日内分業表を掲示。


10|KPI📊

  • 秀品率(%)/階級比率(2L・L・M)/平均糖度(Brix)

  • 破損・擦れロス(%)/予冷までの時間(分)

  • 直販比率(%)/リピート率(%)/レビュー★

  • 労働生産性(kg/人時)/エネルギー原単位(kWh/kg)/廃果率(%)


11|現場の“やりがい”はこう変わった 🌟

  • 旬の果物を育てる喜び季節をデザインする手応え

  • 家族労働の手作り感SOPとデータでチームが回る達成感

  • おいしいの声レビュー・リピート・ギフト指名で返る信頼

  • 良い玉を揃える体験・箱・物語まで含めた“ブランドづくり”


12|100秒ストーリー📘

冷え込みが弱く、糖度が伸びない。
ダッシュボードを見ると夜温高め・CO₂不足・予冷遅れが重なっていた。
夜温を1.5℃下げ、朝のCO₂施用を前倒し、収穫から予冷まで15分以内を徹底。
3日後、糖度+0.8、秀品率+6pt、破損−30%

ケーキ工房から「今年が一番おいしい」と連絡。数字と段取りが、クリスマスの笑顔に直結した。


13|明日からできるミニ改善 ✅

  • 収穫〜予冷までのリードタイム計測を1日だけ徹底して可視化。

  • 花房ごとの摘葉写真SOPをハウス入口に。

  • 受粉日誌(天気・ハチの活動・防除履歴)で形の乱れの原因追跡

  • 出荷用に緩衝材サンプルA/Bを試し、破損率を比較。

  • 週1回、糖度とレビューのスクショをチームで共有して改善会議。


まとめ ✨

いちご農家は、
露地→施設→高設×ブランド→ICT×多販路→レジリエンス設計へと進化してきました。
これからの鍵は、**「夜温・日射・CO₂」×「予冷・梱包」×「体験・物語」**の三位一体。

今日の一歩は――予冷リードタイムの可視化SOPの写真化
小さな仕組み化が、秀品率とファンづくりを確実に押し上げます🍓🚀